ハゲタカ [Book]
真山仁さんの真山仁としてのデビュー作。新聞記者をされていたので、デビュー自体は遅いものの、文章は洗練されています。自分が、現在サラリーマンをしていることもあり、本作はとても魅力的な作品。以前真山さんのマグマを読んで実感しましたが、ハゲタカシリーズもとてもエキサイティングです。仕事はラブでもフェアでもない、パッションだと言い切る、パートナーのリン。主人公の鷲津の情熱と彼自身の正義。とにかくこのシリーズを読むと、自分の仕事に対してのモチベーションが跳ね上がります。現在、働かれている方には是非とも読んでいただきたい作品です。
レッドゾーンの次も連載されているようなので、早く出版されないか待ち遠しいです。
左岸・右岸 [Book]
江國さんの左岸、辻さんの右岸。
冷静と情熱の間のコンビ。初読みなので、どうやって読もうかと考えました。音読みでは「左右」、訓読みでは「右左」。
で、左右の順に読むことに。江國さんの本が読み慣れているせいもあったのが、本当の理由かと。左岸の上巻途中くらいまでは、ちょっと退屈な感じがしました。一人の女性の生涯を書いているので、感情移入ができないと辛いです。で、徐々に移入し、下巻では移入完了。
次に右岸を読んだのですが、こちらは男性の生涯で。個人的には読むに従って引き込まれていきました。右岸のほうが面白かったと感じるのは、左右の順に読んだからだと思います。結構長編なので、すぐに右左で読む気にはなりませんが、しばらくしてから、再読する際には右左の順で読んでみよう。
ストロベリーナイト [Book]
誉田さんの、ストロベリーナイト・ソウルケイジ・インビジブリレインを3連続で読みました。
ストロベリーでぐっと引きこまれ、ソウルで落ち着いて、インビジブルで感心したという感じです。
例によって、映像化されていて、自分は見ていないのですが、主人公の姫川玲子が竹内結子。個人的イメージでは少し違うのですが、誉田さんも納得されているようでまあまあということでしょう。小説は面白かったです。
国境の南、太陽の西 [Book]
モダンタイムス [Book]
伊坂幸太郎。魔王を読んだときは、何か中途半端な感じを受けましたが、続編である本作を読んで納得。
近未来を描いた作品ですが、実際にこんな社会になりそうな予感がひしひしと伝わってきます。例えば、フェイスブックでどれだけの情報が管理者に集まっているか。氏名・性別・住所等はもちろん、位置情報や検索の履歴をマイニングすれば趣味嗜好、果ては信仰や政治的な思想等。他にも街中のいたるところにある監視カメラ、Nシステム、マイナンバー法案等々・・
本作品では、検索することで本人の危険思想を入手した管理社会サイドが粛清するために刺客を送るという、それこそ突飛な設定。怖いのは、首謀者が限定できないこと。というかよくわからないこと。すなわちシステムに組み入れられているから。いつかブログを書いているのも怖くなってきたり?
なお、本作を読む方は、前作の魔王を先に読むことをお薦めします。間違いなく魔王を読んでから、モダンタイムスを読んだほうが、より本作を楽しめますので。
その日のまえに [Book]
美丘 [Book]
2年前にTVドラマ化された作品。
ドラマの宣伝はなぜか覚えているのですが、当時はヒロインが病気で死んでしまうことが最初から分かっているという、ある意味ベタな展開のラブストーリーと思っていて、ドラマもみませんでした。
今回、小説を読んでみてたしかにベタではあるのですが、素直に「よかった」と思えました。生きていること、それだけで奇跡。理屈ではわかっていて、こういう小説読むと、今を大事にしないといけないと、頭では理解するのですが、多分自分が本当にあと1年の命とか、宣言されない限り死ぬまでわからないのだろうなあと。美丘の場合、あと1年とかでなく、いつ発症するかわからないという時限爆弾と20年近く付き合ってきたという設定が、ちょっと想像を絶するところではありました。小説でフィクションですが、多分世界には想像もつかないような状況を実際に自分のものとして向き合っている人もいるのかと思うと、今自分に起きている色々なことが、驚くほど大したことではないのかもしれません。
ドラマ、先入感で決めつけないで、見ときゃよかったなあ・・
間宮兄弟 [Book]
日本の人口一億三千人弱なので、色々な人がいるはずです。きっと、こんな兄弟も。35才と32才の兄弟が2人で住んでいる。兄は残業をしない真面目なサラリーマン。弟は小学校の用務員さん。そして兄弟そろって、女性に縁がない(というかモテない)気持ち悪いくらい?仲が良く、休日は2人で屋内でジグソーやらテーブルゲームやらで盛り上がる。2人だけのルールが色々ある(毎年、母を読んで誕生日会をするとか)。2人ともほとんど友人がいない(兄が会社の先輩1人と仲良しというくらい)
小説ではこんな日常に、珍しく女性がからんできて・・というストーリーです。個人的には、平和で仲がよくて子供のまま大人になってしまって、それでも子供のように純粋で・・というのは悪くはないと思うのですが、非常に寂しすぎる人生なんじゃないか・・と感じました。
江國さんの小説では異色な部類に入ると思います。途中で秋の運動会を描いている部分がありました。その描写は江國さんらしかった。読んでいて、目をつぶると澄み渡った秋の青天と流れる風、そして運動会の香りが感じられる描写。人により運動会のイメージは異なると思いますが、私は運動会=天気のよい秋の日=澄んだ風とおいしい空気。秋バラも春に劣らず好きなので、イメージが展開していくと、そうなっていきます。
本作、映画化されています。映画は見なかったのですが、調べてみたら豪華キャストだったのですね。絡んでくる女性がブレイクする直前の北川景子や沢尻エリカ・・等々楽しい映画に仕上がっていると思いますが、小説は非常に痛々しい小説だと思います。
映画予告編
旅先で [Book]
17日から仕事でインドネシアへ出張していて、21日の朝に帰国しました。
成田-ジャカルタは実質8時間ということ等を鑑みて、文庫本を6冊持参しましたが、読了したのは4冊。読みやすかったのが2冊と、ちょっと速度が落ちるのが2冊。
まずは、読みやす系から。
パーフェクト・ブルー
宮部さんの長編処女作。犬を擬人法で参加させたり、楽しませることを意識させて書かれているその後を予感させる仕上がりになっています。
レインツリーの国
図書館戦争読了後、読んでみようと思っていて延々になっていた作品。有川さんらしい秀作。耳に障害を持つ少女の恋物語。いつものようにキュン物ですが、障害を真剣に考えるきっかけになりそう。男性の主人公はデキスギ感がありますが、おいしいコーヒーの飲み方(村上由佳さん)の男性主人公、勝利クンを連想させてくれました。
そして、ちょっと速度が落ちる2冊
少女七竃と七人のかわいそうな大人
桜庭一樹さんの桜庭ワールド全開作。不思議な感覚な静かな話。私の男のようなドロドロ感は無いのですが、近しい設定はありました。親子→兄弟姉妹。主人公七竃の会話文がとてもよい味を出してます。舞台はナナカマドという植物に連想されるとおり北海道ですが、このところ読んだ北海道を舞台の作品は、桜庭さんに限らず、静かで寒くて「雪」を連想させるようなものになりがちです。北海道で明るく暖かい話があっても逆にコントラストが出て面白いようなきもしますが、いつも静かで寒い・・のでしょうか?余談ですが、桜庭さんって女流作家です。解説で、本書は性別を意識せずに読むようにとありました。読み終わってから解説読んだので遅かったです。ご本人は女流作家だけど性別を意識しないでね、というメッセージなのかもしれません。
パーク・ライフ
吉田さんの芥川賞受賞作。正直凄さがわからなかったです。例によって何回か読み込まないとわからないのかもしれませんが、ちょっと疲れている旅先で読む本ではなかったです。たんたんと日比谷公園のなかの人々を描いていますが・・・う~ん、伝わってこないなあ。
以上4冊でした。
余談ですが、インドネシアでは水に気をつけるよう色々な方からアドバイスいただきました。おかげさまでお腹も壊さず過ごせました。この場をかりて、ありがとうございます。
経済成長著しい勢いを感じさせてくれるエネルギッシュな国です。97%日本の車が走っています。バイクの新車登録台数が年間800万台!日本が30万台程度なのでものすごい数です。
ナラタージュ [Book]
ナラタージュ【narratage】 映画などで、ある人物の語りや回想によって過去を再現する手法。
島本さんは、都立高校在学中に芥川賞候補作品リトル・バイ・リトルを書き上げた、早熟の天才小説家。ということでしたので、ベストセラーとなった本作が初体験でしたが、かなり期待して読みました。ご本人も83年生まれなので、まだ20代。本作品が2005年のものなので、書き上げた時は22才。
基本的に本作品に登場する人物は弱い人間ばかりです。特に男性の弱さが際立っています。精神的に不安定な女性を描いた作品は沢山読みましたが、本作のように表面的には強く見せていて、その実、情緒不安定な男性の弱さを見事に描いた作品はあまり読んだ経験が無かったです。22才の想像力で、これだけ異性の内面を見事に描くには、自身の経験なしには無理じゃないかと思いました。経験ナシで描いたとしたら、本当に楽しみな作家になると思います。
ただ、少し冗長的で退屈な感じがしたので、是非おすすめというものではなく、興味があればどうぞ、というのが正直なところです。島本さんには、いつかノルウェイの森のような、大作を期待したいと思います。
しゃばけ [Book]
江戸時代の廻船問屋を舞台にしたお話。主人公の周りに妖(あやかし)が友人のように暮らしている。ちょっとした謎解きがミステリー仕立てで展開していきます。
まず、設定が面白い。妖(あやかし)達と主人公のやりとりも楽しく、江戸時代らしい、雰囲気がよく現れています。
それにしても、江戸時代の実際の空気ってどんな感じだったのでしょうか。残されている資料や絵から、映画や小説でしか触れることができない遠い遠い過去ですが、間違いなく現実に存在していた時代。ある一定の時が流れていたのです。タイムマシンでもなかれば、現代に生きる人は誰も知らない訳で、想像するしかないのですが、本書はそんな想像を豊かにしてくれるタイムマシンのようでした。
シリーズ物なので、順番を間違えないように続編を読んでいきたいと思います。
ちなみに、表紙をめくった扉に、
娑婆気(しゃばけ):俗世間における、名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心
とあります。
乾山晩愁 [Book]
落下する夕方 [Book]
小説は読者が想像するもの。本作は主人公の女性が恋人の恋人と同居することになってしまい(その時点で恋人とは別れているのですが)、困惑しつつもその女性に惹かれていくというお話。
何ゆえに、自分の恋人を奪った女性に惹かれてしまうのか?読み進むとなんとなく共感してしまうものの、その女性が何者かということが、ほとんど書かれていないので、そこは想像するしかないのです。自由奔放な感じであるとともに、常に暗いなにかを背負っているような・・
映画化もされたようです。見てはいませんが、原田知世さんが主演。年齢を重ねても透明感が失われない不思議で、すばらしい女優さん。DVDレンタルせねば。
ちなみにあとがきで、江國さんが私の心は夕方にいちばん澄みます。冷静になれて、大切なことは夕方に決める、そうです・・
きらきらひかる [Book]
男性と女性の視点から交互に語られる形式。ひとり冷静と情熱のあいだのような。ストーリは全く異なりますが、主人公の女性は、うつでアル中という設定。しかし、アル中って感じは全くしないし、うつで精神的に不安定なところはあるものの、ノルウェイの森のような死の感覚はなく、一般にも普通に隣にいて不思議でない感覚の女性。むしろその女性の夫でホモの医師が、潔癖性で根っから善人で優しいタイプに描かれているのが、なんか不自然。ホモの相手役の男性が魅力的。
とまあ、こんな設定なのですが、江國さんの例によって不思議な感覚を抱かせる文体と、女性がすごく魅力的に描かれていて好きな作品です。どんな人でも精神的に不安定になる要素は持っていて、それが表面に出ればうつとなるのでしょうが、逆に表面に素直に出せるヒトって、それが魅力となりえることがあるんだなあと感じました。「こころがしわしわになった」という表現をはじめ、引用したくなる言葉が満載でした。
Mr.Children詩集「優しい歌」 [Book]
みぞれ [Book]
とんび [Book]
重松清「とんび」。NHKで2回連続のドラマで放送されていたのですが、見逃してしまいました。先週、モンテカルロ国際TV祭で最優秀賞を受賞。おめでとうございます。
重松ワールド、これも親子のお話。子供が生まれ、成人し、結婚するまでの人生を親と子の目線から丁寧に描いています。とんびが鷹を産むのとんび。親一人子一人なのですが、そこには多くの人たちのささえ愛があり、そんな素晴らしい人たちが集まってくるのだから、決してとんびではないのです。たてまえや偽善のつきあいでは、長続きしない人との関係。心から相手を信じきっているので、時に乱暴な態度や言葉が出てしまう。でも本音で付き合えるってそういうことだから、そんな相手は一番大切にしている。舞台は広島ですが、主人公の子供が結婚して1人になり、定年を迎え、子供の生活圏である東京で一緒に住むかどうかの葛藤で、地元を選んだのも、そんな大切な人たちとの関係を選んだから。
朝の電車でラスト近くを読んでいたら、グググッときてしまいました。
13階段 [Book]
たぶん、今ミステリーで旬な作家の1人である高野和明。ジェノサイドがまだ文庫化されていないので、デビュー作となった本書から手にとってみました。無実の死刑囚を救い出す、という斬新とは言えないテーマ。ただし、テンポがとてもよく逆転につぐ逆転と、映画的なストーリ。
デビュー作で江戸川乱歩賞?本当にデビュー作なのかと経歴みたら、脚本家を10年されていたそうで、納得。2001年の作品を2011年に再文庫化とともに、10年後のあとがきと題して巻末に執筆されています。ご自身が小説を書くときのキモのようなことを堂々と披露されているのにびっくりです。
読んでいる途中で、確かこの本5年位前に読んでいる!!と気づいたのですが、ストーリは全く覚えていませんでした。刑務所で死刑になっていく囚人や執行のしくみ等のくだりで、以前間違いなく読んだことを思い出し、その描写が印象的だったのでしょう。
ということで、記憶には残っていませんでしが、一気読みできるとても面白い小説です。2003年に映画化されていたようです。
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マグマ [Book]
夕刊に、原発再稼働のNewsが・・
この小説が書かれたのが2006年2月。その5年後に震災で、福島の原発が爆発。本書は、知人から頂いた何冊かのひとつだったのですが、震災後だったので、あまり見もしないで震災に影響して書かれたのかな・・と勘違いしていました。
今日読み終えたところで、冒頭のNews。色々なタイミングが合致したのは本当に偶然です。
主人公はハゲタカと揶揄され恐れられる外資系投資ファンド会社に勤務する若手エリート女性社員。原発に変わる発電手段として、地熱発電がクローズアップされています。「大型経済小説」ということですが、夫婦愛、家族愛、なにより仕事に対する情熱を書き上げていて、久しぶりに夢中になって読み終えました。
基本的に小説は面白ければよく、細かい詮索はしません。面白いだけで十分なのですが、たまに本作のように「感動」を与えてくれる作品に出会うことがあるので、読書は止められないのですね。
「賞」をもらっていなくても、こんな素晴らしい小説があるんです。おすすめの一冊です。
巻末の池上彰さんの解説も相変わらずわかりやすいです。
6/10からwowwowで連続ドラマ化されているようです。
恋 [Book]
直木賞受賞作にもあたりはずれがあります。個人の好みの問題もあるとは思いますが。
冒頭主人公の葬儀から始まり、その回顧が続きます。刑事コロンボ風に、最初に結末を披露するのですが、謎が沢山あって、どうしてこの主人公が殺人者になったのだろうと、一気に興味がわくつくりになっています。
主人公に感情移入しつつ読むと、客観的にはありえない異常な状況でも、異常と感じなくなる素晴らしい、文章力。あらためて、素で考えると、殺された人って殺されるようなことをしましたか?と思うのですが、読んでいる時は、そいつが諸悪の根源のように感じてる。
あとがきで、小池さんが2年くらいどん底のときに、バッハのマタイ受難曲を聴いている最中に突然神が降りてきたごとくにこの小説の構想を思いついたそうです。
見事な作品。これは直木賞でしょう。
マタイ受難曲(スピーカのマークが×になっていたら、クリックして音量を調節ください。音が出ます)
羊をめぐる冒険 [Book]
村上春樹初期の青春3部作、または鼠3部作のなかの3作目。1Q84やカフカ、ねじまき鳥、世界の終わりへつながっていく感じが出ています。舞台は北海道。不思議なムラカミワールドへどうぞ・・
春樹さんの小説は音楽と切って切り離せないところですが、なんとなく調べていたら、凄いサイトを発見しました。このサイトを作った方は素晴らしいです。で、紹介してしまいます。
http://murakamiharuki-music.jimdo.com/
これらをipodに入れて聴きながら読書したら最高・・
ジウ [Book]
悪人 [Book]
悪人読みました。映画はみていなかったのですが、文庫の表紙が妻夫木さんと深津さん。で、どうしても読んでいてイメージが付いてまわってしまいました。内容は秀逸。主人公の最後の態度に容疑者Xの献身的なにおいを感じ・・・
人は1人では生きられず、基本的には寂しい生き物。さみしいから人は人を求めるし、不器用な求め方が不幸な結果を招いて、悪い方へとスパイラルしていく。その流れは何をしても止められず、いきつく先には何も無く。
1人1人が本当に実在していそうな現実感があり、終始重たい雰囲気を感じながら読み進めていきます。後にずっしりと残るよい作品でした。
カラスの親指 [Book]
ひと月くらい前に読み終えました。で、映画化のNews知ったのが1週間くらい前。
道尾さんの話が映画化されるのは、これが最初。本をよみおえた時点で、もしかしたら映像化を意識して書いたのかな?というくらいドラマ的でした。しっかりいつもの道尾イズムの騙しは効いているので、小説を読んでいないなら、 読まずに映画を見たほうが楽しめることと思います。
読んだあとに映画化の詳細を知ってよかった。逆だと、どうしても読んでいるときにタケさんと阿部寛がダブッテしまうだろうし。映画は間違いなく成功するだろうなあ。
よくできていて、面白い作品でした。少しでも中に踏み込むとネタバレになるので、残念。
親指はすべての指と楽に触れることができるが、人差し指単独で小指と触れるのは触れにくく、親指でアシストすると楽に触れることができる。家族的メタファー、どう思いつくのか、作家ってすごいなあ。
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
- 作者: 道尾 秀介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 文庫
女たちは二度遊ぶ [Book]
パレードから、吉田修一。
短編集。ほんとうに短編で、1作20ページ程度が11作。しかし、パレードに続き(といっても自分がその順番で、しかもまだ2作目なので、その他膨大な吉田修一の著書はどうだか不明ですが)深い。なんというか、登場人物にリアリティーがある。これまた映像化されているらしく、そちらも気になります。近いうちに悪人とパークライフを読まねば。
BeeTVドラマ 女たちは二度遊ぶDVD BOX (DVD付) (<DVD>)
- 作者: 相武紗季
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2011/02/03
- メディア: 大型本
パレード [Book]
おいしいコーヒーのいれ方 Ⅰ〜Ⅹ [Book]
先日通勤往復の1週間で10冊続けて読んでみました。数年前に読もうと思っていたら、1年に1冊ペースで書かれていて、まだ完結していなかったので、尻切れになるのがイヤでおいておきました。
いや、あっという間に読めます。吉田修一さんは男性なのに女性の心理描写が秀逸ですが、村山由佳さんは女性なのに男性の心理描写が秀逸。ちょっと色は違いますが。吉田さんが描く女性は唯川さんが描く女性に近いような気がします。
今まで「嫉妬」という気持ちに無縁だった主人公の悲しいほどのジェラシーが丁寧に描かれています。続けて読んでしまうと、途中で食傷気味になりかけましたが、とりあえずファーストステージは完了。セカンドステージも6冊くらい出ていますが、現在進行形らしく、しばらく待ち、ですね。個人的には星野さんファンですが、最後の方で全く登場しなくなってしまったので、どうなっていくのか心配です。セカンドステージに登場しているのかな。
おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)
- 作者: 村山 由佳
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/06/18
- メディア: 文庫
ナミヤ雑貨店のキセキ [Book]
転落 [Book]
後味は悪い。なんだろ、こんな人生もあるのかなあと。たしかに日本人が1億人以上いるからにはその数だけの人生があって、自分なんてほんと狭いコミニティの中しかわかっていないから。
一流大学を出て結婚したものの、子供を失い、離婚して、無職になり、ホームレスになり・・
絵に書いたような「転落」。それだけでは話にならないから、ミステリ自タテにしてますが、帯にあるような「ラストの衝撃」はミステリ読み慣れてしまったせいか、驚きはうすく、でした。
それより、話の中の日常の風景が印象的。介護老人専門の病院の実態。そこで働くナースや栄養士の日常。ギリギリの生活をしている様子が鮮やかに描かれています。その心理描写が後味を悪くしている要因だとは思います。実際、途中で気持ち悪くなりやめようかと思ったのですが、結構なスピードで読み終えてしまいました。
この作者の作品は初めてでしたが、「厄災」や「せんーさく」とか読んでみようかな。後味悪いのにまた読みたくなるのは、何かがあるのでしょう。
ちなみにこの方は映島巡名義でFFXiiiの公式小説執筆なさったりしているそうです。